2014年9月22日月曜日

ITオンチと言ってはいられない、ソーシャルメディアの力を実感できる映画 CHEF

ANAビデオプログラム「SKY CHANNEL」より
子育て先進国、ノルウェー取材へ向かう機内で、思いもかけず面白い映画に出会いました。題名は「CHEF」。「アイアンマン」を手がけたジョン・ファヴロー監督・主演の映画です。
レストランの雇われシェフのカール・キャスパーが、保守的なオーナーの指示に逆らえずに出した料理を評論家(有名ブロガー)にネット(Twitter)上で酷評されるところから物語はスタートします。
カールはTwitterなんて触ったこともないので、そんなことは知りません。しかし周囲はみんな知っています。そこで、10歳の小学生の息子にアカウントを作成してもらい、初めてその状況を知ることになります。
アカウントを作って初めてのTweetが評論家への挑戦状。カールはダイレクトメールを送ったつもりが、2万人を超える評論家のフォロワーもそのTweetを目にすることになります。ネット上で話題(いわゆる炎上)となり、成り行きで評論家と対決する事になってしまいます。しかし、再び保守的なオーナーの邪魔で料理を作らせて貰えず、直接対決は不成立。そのために評論家が再び酷評するTwitterにカールが怒って店に乱入。店内で繰り広げられるリアルな口論を、まわりの客が写真に撮ったり動画に記録したりします。その様子はYouTubeにアップされ、誰もが知るところとなってカールは店を去るのです。

ここは映画の評論をする場ではないので、ストーリーについてはこのくらいにして本題に。

この映画では、ソーシャルメディアのリスクとメリットが様々な形で取り上げられています。Twitterでの炎上だけでなく、一度アップされた書き込みやYouTubeの動画は削除することはほぼ不可能で、限りなく拡散され残るというソーシャルメディアのリスクがわかりやすく表現されています。ソーシャルメディアの暗黒面で職を失ったカールですが、息子が日々アップするTweetにより人気を取り戻し復活することができます。重要なのは「狙わないこと」だと教えてくれます。
ステマ(レビューやブログで、関係者が一般人を装って持ち上げるステルスマーケティング)はすぐに見破られますし、その代償は計り知れません。誹謗や中傷、法令違反を含まない自然体でナチュラルな発言が好感を持たれ、支持されるという良いモデルを示しています。

もう一つ見逃してはならないのが、カールの息子が小学生であるにもかかわらず自転車を操るかのごとくにスマホを活用していること。デジタルネイティブのこども達にとっては、ソーシャルメディアは私たちの世代にとってのテレビやラジオ・新聞よりも空気のような存在になっています。日本ではまだ馴染みのないVINEまで登場します。

この映画を見ると、ソーシャルメディアのリスクだけでなく活用法も良く理解できるでしょう。残念ながら、現時点では日本での公開は未定のようですが、ITやソーシャルメディアが苦手だという経営者や広報担当者にはオススメの映画です。


追記

日本では、2015年2月末、「シェフ ~三ツ星フードトラック始めました~」というタイトルで公開となりました。

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