2014年1月23日木曜日

「明日、ママがいない」の炎上騒動とスポンサーのあり方

日本テレビ系列で放映されている連続ドラマ「明日、ママがいない」の今後に注目が集まっています。初回放送後、赤ちゃんポストを設置している慈恵病院から放送中止の申し入れがなされ、全国児童養護施設協議会も抗議文を送付、全国里親会からも改善要求が出ています。放送倫理・番組向上機構(BPO)へ審議申し立ても行われたと言います。
そして、第2回放送ではスポンサー8社のうち3社のCMが放送されなかったのに加え、通常番組タイトルの後に入るスポンサーの読み上げと表示が無かったといいます。

明日、ママがいない」そのものを見ていないので、番組の内容について触れることはしませんが、一連の報道やネットでの騒ぎからいくつかの疑問と問題点を指摘したいと思います。

日本テレビの対応


抗議や放送中止申し入れを受けてもなお、 「放送は継続する」と回答しています。確かに、始まったばかりのドラマですから、最後まで見終わって初めてドラマに込めたテーマやメッセージが伝わるのかも知れません。しかし、局の対応からは最後まで見させるだけの展開の提示や局側の工夫が何も見えてきません。フィクションとは言え、非常にデリケートなテーマであり設定です。それだけに事前に様々な反応が想定できたはずです。各方面への事前の根回しもそうですし、映画で言えばR指定のように「○○○の表現がある」など告知して心の準備をさせておけば反応も違ったでしょう。抗議や反応に対する対応準備もできたはずです。
企画の段階で議論を尽くし、波風が立つことを前提とした覚悟の上での脚本/放送だったのでしょうか? 抗議や申し立てに対しての対応に、誠実さや戦略性も感じられないために、残念ながら現状では視聴者もドラマの先行きに期待が持てないのではないしょうか。

スポンサーの対応


事前にドラマのテーマやストーリー、あるいは企画書などを確認した上で番組のスポンサーになっているはずです。局にしてもプロデューサーにしても、スポンサーの意向を無視するわけにはいきません。番組スタート時にはスポンサーとしてOKを出していたはずです。それなのに抗議があったからスポンサーを降りるというのは筋が違うと思います。
2回目の放送では、初回にスポンサー表示されていた8社の内、エバラ食品工業とJX日鉱日石エネルギー(ENEOS)、キユーピーの3社のCMが流されず、AC(公共広告機構)のCMに差し替えられたと報じられました。日清食品、花王、NTT東日本/西日本、三菱地所グループ、富士重工業(SUBARU)、小林製薬のCMは流されたそうです。
ひょっとしたら、スポンサー各社の宣伝担当者は1クール3か月全体の筋書きも理解し、この展開をある程度予測していたかもしれません。ところが、世間の反応に驚いた各社の上層部が、トップダウンで圧力をかけた可能性も否定できません。 そうだとしたら、いかにも日本的横並びの、保身が先に立つ組織と顔の見えない組織人の仕事の進め方がそこに見えてしまいます。

スポンサー表示を落としたのは?


番組提供スポンサーの読み上げ・表示を落としたのは、局の配慮でしょうかそれともスポンサーからの要望だったのでしょうか?実際に3社はCMを流すのを拒否したのですから、スポンサーからの要望があったと考えるのが順当かもしれません。あるいは「スポンサーを降りる」と言われて日本テレビ側が代替案を提示したのかもしれません。
いずれにしても、この行為そのものが新たな話題を提供してしまうことになりました。

今回の騒ぎで見えてきたもの、いえ見えてこないのは、「覚悟」ではないでしょうか。罪深い大人の仕事に対する覚悟のなさが、視聴者や世間にモヤッとした歯切れの悪い印象だけを振りまき、ドラマで演ずる子役達のがんばりを台無しにしていると感じるのは、私だけでしょうか?



1月30日追記
1月29日、第3回放送では、スポンサー企業8社のCMは全てACのCMに差し替えられました。しかし、スポンサー企業以外のスポットCMは流されたので、全くCMが流れない放送ではなく、スポットCMが認知される(目立つ)事になってしまいました。

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