2013年11月11日月曜日

「じぇじぇじぇ」「倍返し」が商標出願されて登録は叶うのか?

先週、あるブランドの日本正規代理店で、国内での販売と商標使用権を独占的に認められているクライアント様から相談を受けました。
その会社は、これまで長年かけて日本で地道に普及活動をし、マーケットを作ってきました。だんだんとブランドの認知も高まりこれからというところで、あることからそのブランドが注目されることになりました。ところが注目されたことで、めざといネット通販会社が続々並行輸入品を取り扱うようになったのです。本来ならもっと売り上げが伸びているはずなのに、ジリジリと売り上げに影響が出てきたということでした。
この相談についての具体的なアドバイスはここでは書けませんが、このことで並行輸入品と商標権について調べ物をしていました(並行輸入品が商標権の侵害を理由に販売停止できるかについては、現在では並行輸入品というだけでは販売差し止めは難しいようです)。そこに「じぇじぇじぇ」が商標出願されていたというニュースです。ドラマのロケ地となった久慈市で「じぇじぇじぇ」という名前の菓子を製造販売している菓子店が、5月に出願していたということでした。

 当社でもいくつかの商標を登録しています。その中の1つが「こそだて」ですが、「こそだて」は一般名称で登録はできません。意外なところでは、「松ノ湯」や「二八そば」などの同じ名称で多く存在する屋号も、商標登録することができないといいます。そこで、【こそだて】はロゴを意匠として登録しました。
 それでは、「じぇじぇじぇ」はどうなのでしょうか?
確かに、ある地方だけで使われる面白い単語は多く存在します。語源ハンターのわぐりたかしさんの本にたくさん紹介されていますが、他にもその地方以外ではまず通じないような知らない言葉はたくさんあります。身近な動植物の名前も、地方毎にさまざまな名前で呼ばれています。その地方では「一般的な言葉」であっても、東京では誰も知らないので「オリジナルの造語」と言ってもわからないでしょう。特許庁に商標の出願をしても、何の違和感も無く受理されるに違いありません。「じぇじぇじぇ」が出願されたのは5月といいますから、「あまちゃん」は既に話題にはなっていたはずですが、霞ヶ関の皆さんが見ていたかどうかはわかりません。「じぇじぇじぇ」も、「あまちゃん」の中で使われるまで、他の地方の人はまず知らない、使わない言葉でした。

 同様に、テレビドラマ「半沢直樹」で有名になった「倍返し」もサンヨー食品が9月に商標出願をしていたということで話題になっています。「じぇじぇじぇ」は、先に商品の販売があり、それを守るための「防御」としての商標出願のようですが、「倍返し」は先に出願ありきの雰囲気が濃厚です。

いずれも実際に登録されるまでには、特許庁の審査や異議申し立て期間をクリアしなければならないので、すんなり登録されるとはかぎりません。しかし、もしも「じぇじぇじぇ」や「倍返し」の商標登録が認められたら、次の「じぇじぇじぇ」「倍返し」を求めて、ヒットしそうなドラマや朝ドラ、大河ドラマをチェックして、決めぜりふを片っ端から商標出願する者が現れそうです。

逆に将来、自社の商品名が話題の決めぜりふや言葉と同じになることだってあり得ます。そんな時に他社から商標を先願される場合も考えられます。また、自社の商品・サービス名称が、知らない間に他社が所有する商標の権利侵害をしていることがあるかもしれません。
今一度、自社の商品やサービス名称について、商標登録の必要がないか、権利を侵害していないか、手遅れにならないよう検討・検証しておきましょう。

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