2013年4月26日金曜日

記者発表

私はPRや企業コミュニケーションのコンサルをする一方で、メディア側の記者でもあります。
自社で育児情報誌mikuを発行し、育児のポータルサイト【こそだて】を運営していることから、育児関連だけでなく様々な分野の企業やPR会社から、毎日数十通ものリリースや記者発表の案内をいただきます。その中から、気になる商品やサービスの発表記者会見には、 時間を見つけて参加するようにしています。

どんな記者発表を優先するかと言えば、媒体の性格上、まず第一に「子どもの安全」に関わる商品・サービス。先日のJAFが公開実験を行ったチャイルドシートの衝突実験はもちろん、安全面の改善や新機構に言及した ベビーカーやチャイルドシートの新モデル発表なども興味をもって足を運びます。製薬メーカーさんのプレスセミナーにも多く足を運びます。2番目がこれまでになかったサービスや商品。新しい子ども向けタブレットやWEBを使ったサービスなどです。
3番目は、子育てファミリーをターゲットとした商品・サービスやランキングの発表。クルマや住宅、保険などは子どもが生まれて成長する過程で、購入や買い換え・見直しを迫られる商品です。

記者発表に参加するときには、2つの事を心がけています。
1番目は発表内容を事前に想定して参加すること。発表内容の背景や意図を想定することで、読者にとって必要な情報・欲しい情報とのマッチングをします。
2番目は、質問をすること。事前に想定した内容をもう少し詳しく裏付けたいとか、逆に想定していたものと違った場合に、その意図や原因を確認し、整理して読者に伝えたいからです。
従って、質問しなかったときというのは興味が持てなかった、期待はずれだったとき。

よく、「有名タレントさんが参加する」という記者発表の案内をもらいますが、基本は不参加です。タレントさんが話題になるということは商品やサービスに新規性や話題は無いと言うことでもあるからです。そのような発表会は、テレビで取り上げられても多くは芸能コーナー。広報やPR会社は露出ボリュームがこれだけあったから、広告換算するといくらになった、みたいな評価をするかもしれませんが、それはタレントさんの露出で商品ではありません。

記者発表の会場も、会社の会議室から記者クラブ、ホテルの宴会場、大使館(海外製品に多い)など様々ですが、仕切り・進行が上手なところから不慣れなところまでこれまた様々。広報の担当者にとっては、記者発表はゴールではなくそれを受けてどう報道されるかが重要。
良い(こちらが意図した内容の)記事を書いてもらうために準備し、当日に臨むのですが、何社・何人の記者が来てくれるのだろうかと朝からやきもきしっぱなしでしょう。しかし、記者発表はイベントではなく種まきの場ですから、その後、蒔いた種をどれだけ大きく成長させられるかもまた大切な仕事。広報担当者はそれを忘れてはなりません

日常からメディア・記者の立場からも企業活動や商品・サービスを見ているからこそわかる事も多いのです。

それでも、商品とタレントさんのイメージが既に硬く結びついているような場合(ソフトバンクの白戸家やシャープアクオスの吉永小百合さんなど)は別で、タレントさんの露出が商品やサービスの露出に替わるケースもあります。

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2013年4月21日日曜日

ネット選挙解禁

インターネットを使った選挙運動を解禁する改正公職選挙法が、19日の参院本会議で全会一致で可決、成立しました。これにより、夏の参議院選挙ではネットを使った選挙運動がスタートします。
電子メールの利用に関しては制限があるものの、これまで選挙公示後禁止されていたホームページ・ブログの更新やFacebook、Twitterでの発信が可能になります。

これまでは選挙に必要なのは、地盤・看板・鞄の「3バン」と言われてきました。しかし、これからはネットを使った発信力が選挙結果に大きく影響することは間違い有りません。特にこれまでは投票に積極的でなかった若い有権者も、ソーシャルメディアを通して様々な情報やオピニオンに接することになります。選挙そのものも話題となるでしょうし、候補者の主張や行動もSNS上で話題となったり、場合によっては非難の対象になることもあるでしょう。
ネット選挙が解禁となり、ネット上に様々な情報が飛び交うようになると、いかにその情報をコントロールするか、候補者にとっての reputation をコントロールできるかが重要になります。候補者としての公約・マニフェストだけでなく、日常の言動までもネット上で語られることになります。
ネットに疎いから、あるいは「3バン」があるからと何もせずにいたら、ネット上では自らが知らない・コントロールできないところで意図しない評判やありもしない嘘の情報・ネタが広まる可能性も高いでしょう。対立候補が意図的に流すことだってありえます。

これを避けるには、ネット上に自らコントロール可能な空間(ホームページ・ブログ・Facebookページ・Twitterアカウントなど)を持ち、そこでオープンな議論・コミュニケーションをすることです。公式なサイト・アカウントが無ければ、炎上はしませんが非難やネタは分散して拡散するばかりです。しかし、公式な場所があればそこに集中します。議論の場として自らの土俵で戦うことができます。そこで炎上することはあるかもしれませんが、それは自分の責任です。それができないのであれば、立候補すること自体考え直すべき変革といえます。

ネット選挙の解禁で、これまで投票に積極的で無かった層も動く可能性が高くなってきました。各政党・候補者はどのような選挙方針、ネット対策をとるのでしょうか?
維新の会共同代表の橋下徹氏が心配するように、中小政党や一部の候補者は、似非コンサル(ネット選挙に対応するには、選挙だけでなく広報、ITにも精通していなければならないが)や業者の良い餌食にもならないことを祈るばかりです。

日本に先んじて解禁となった韓国では、20代の投票率が20%ほど上がったと言います。投票直後にFacebookなどに写真をアップする「認証ショット」が若者のブームとなったというのも、投票行動を後押ししたのかもしれません。各政党・候補者だけでなく、そして選挙公報そのもの、選挙運動の監視体制さえも大きく変わらなければならない参議院選挙。私たち有権者もこれまでとは違う姿勢で迎えなければならない選挙となりそうです。

reputationという視点を持たずにネット選挙に突入する候補者は、苦戦どころか墓穴を掘ることにさえなってしまうでしょう。